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ストラングルとは?ストラドルとの違いと使い分け

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ウィブル(Webull)証券

ストラングル(ロングストラングル)は、株価が上下どちらかに大きく動けば利益になるという戦略です。方向を当てるのではなく、「大きく動くこと」そのものに賭けます。

考え方の出発点は、同じ行使価格のコールとプットを両方買うロングストラドルです。ストラングルは、そのストラドルの行使価格を上下にずらした版と理解すると分かりやすくなります。コールは現在の株価より上の行使価格、プットは現在の株価より下の行使価格を選ぶことで、2枚の行使価格の間に「幅」が生まれます。

この「ずらし」が、ストラングルの性格を決めています。行使価格を現在価格から離す分だけプレミアムは安くなるため、支払いはストラドルより抑えられます。その代わり、利益になるにはストラドルよりも大きな値動きが必要になります。安さと必要な値幅の大きさは、常に入れ替わりの関係にあるのです。

方向を問わず大きな動きを狙う点はストラドルと共通しているため、2つの戦略を並べて読むと違いがはっきりします。

目次

ストラングルの仕組み|同じ満期でコールは上、プットは下

ロングストラングルは、同じ銘柄・同じ満期日の2枚で構成されます。

  • コールを1枚買う(現在の株価より上の権利行使価格)
  • プットを1枚買う(現在の株価より下の権利行使価格)

2枚とも「買い」です。組み立てた時点でプレミアムを支払って始まる(デビット型)ため、最大損失は支払ったプレミアムの合計に限定されます。株価が予想に反してほとんど動かなくても、失うのは支払った分までで、それ以上に損失が膨らむことはありません。

満期の時点で株価がどうなっているかで、結果は次のように分かれます。

株価が上の行使価格を大きく超えて上昇すれば、コールが値上がりして利益になります。逆に下の行使価格を大きく割り込んで下落すれば、今度はプットが値上がりして利益になります。どちらに動いても、動いた分だけ片方のオプションが利益を生む形です。

一方、株価が2枚の行使価格の間にとどまった場合は、コールもプットも無価値になって消えます。この場合は支払ったプレミアムがそのまま損失になります。つまりストラングルは、「大きく動くか、動かないか」が勝敗を分ける戦略だと言えます。

ロングストラングルの構成図。株価100ドルを中心に、買いプット95ドルと買いコール105ドルの位置と、95ドルから105ドルの間の損失ゾーンを示した図

モデルケースで見る損益

では、数字で確認しましょう。以下はすべて架空のモデルケース(例)です。

モデルケースの設定

  • 現在の株価は100ドル。上下どちらかに大きく動くと見込む
  • 権利行使価格105ドルのコールを、プレミアム1.3ドルで買う
  • 権利行使価格95ドルのプットを、プレミアム1.3ドルで買う
  • 支払うプレミアムの合計は 1.3 + 1.3 = 2.6ドル × 100株 = 260ドル
ロングストラングルのモデルケース条件表。買いコール105ドルと買いプット95ドルのプレミアム、支払い合計260ドルと損益分岐点を整理した表

満期時に株価がどうなっていたかで、結果は次のように分かれます。

満期時の株価損益備考
120ドル+1,240ドルコールが大きく値上がり
110ドル+240ドル上側の分岐点を超えた状態
107.6ドル0ドル上側の損益分岐点
100ドル-260ドル最大損失(開始時点の株価)
92.4ドル0ドル下側の損益分岐点
90ドル+240ドル下側の分岐点を超えた状態
80ドル+1,240ドルプットが大きく値上がり

損益のポイントは3つあります。

1つ目は、最大損失は支払った260ドルで確定していることです。株価が95〜105ドルの間にとどまれば、2枚とも無価値になり、支払った260ドルがそのまま全損になります。裏を返せば、どれだけ読みが外れても損失は260ドルを超えません。組み立てた時点で最悪の場合が見えている点は、買いだけの戦略ならではの特徴です。

2つ目は、損益分岐点は上下に2つあることです。上は105 + 2.6 = 107.6ドル、下は95 - 2.6 = 92.4ドル。株価がこの範囲の外に出て初めて利益側に入ります。行使価格の間(95〜105ドル)だけでなく、分岐点までの幅も含めて株価が動かなければ利益にはならない、という点を見落とさないでください。

3つ目は、利益側には上限がないことです。株価が分岐点から離れるほど、利益はその分だけ伸びていきます。モデルケースでも、株価120ドルでは+1,240ドル、株価80ドルでも+1,240ドルと、両方向とも同じだけ利益が伸びる形になっています。損失は限定、利益は値動き次第で伸びる。この非対称な形が、ストラングルの損益図が「底の平らな幅広のV字」になる理由です。

ロングストラングルの損益図。底が平らな幅広のV字、最大損失マイナス260ドル、損益分岐点92.4ドルと107.6ドルを示した図

ストラドルとの違いと使い分け

ストラングルとストラドルは、どちらも「大きく動くこと」に賭ける買い2枚の戦略です。違いは行使価格の置き方に集約されます。同一条件で並べると、次のようになります。

項目ロングストラドルロングストラングル
支払い(最大損失)520ドル260ドル
損益分岐点94.8ドル・105.2ドル92.4ドル・107.6ドル
利益に必要な値動き約±5.2%上+7.6%・下-7.6%

読み解くポイントは2つです。

1つ目は、支払いの安さです。ストラングルは行使価格を現在価格から離すため、1枚あたりのプレミアムが安くなり、支払い合計はストラドルの半分の260ドルで済みます。失ってもよい金額を小さく抑えたい場合や、まずは小さく試したい場合には、ストラングルの方が組み立てやすいと言えます。

2つ目は、必要な値幅の大きさです。支払いが安い分、利益になるまでのハードルは上がります。ストラドルは約±5.2%の値動きで利益側に入るのに対し、ストラングルは上+7.6%・下-7.6%の値動きが必要です。「そこまで大きく動く材料があるか」を、組み立てる前に冷静に見極めることが大切です。

ストラドルとストラングルの比較表。支払い、最大損失、損益分岐点、利益に必要な値動き、向く場面を並べた表

使い分けの目安は、見込む値幅の大きさで考えるのが分かりやすいでしょう。

  • とても大きな値動きを見込むとき: ストラングル。支払いを抑えつつ、大きな動きが来れば利益が伸びる形にできます
  • 大きな値動きだが幅は読みにくいとき: ストラドル。支払いは大きくなりますが、利益に必要な値動きが小さい分、届きやすくなります
  • 値動き自体が小さいと見込むとき: どちらも不向きです。動かなければ両戦略とも支払ったプレミアムが損失になるため、無理に組む場面ではありません

もう1つ、両戦略に共通する注意点が2つあります。

1つ目は、IV低下の影響です。決算発表などのイベント前は、期待が高まってオプションの価格(IV)が膨らんでいることがよくあります。イベントを通過するとその期待が剥がれてIVが下がり、株価が動いてもオプションの価格が思ったほど伸びないことがあります。イベント直前に高いプレミアムで買うと、「株価は動いたのに利益が小さい」という結果になりかねません。

2つ目は、時間経過の影響です。買ったオプションは、株価が動かないまま時間が経つほど価値が目減りしていきます。満期が近づくほど目減りのペースは速くなるため、「いつか動くはず」と長く持ち続けるほど不利になります。満期までの時間と、値動きが起きるまでの見込みのバランスを、組み立てる前に確認してください。

決算とオプション価格の関係は、決算発表を材料に考える記事でも詳しく扱っています。

ストラングルの組み立て手順

STEP

「大きく動く」と見込める銘柄と時期を選ぶ(決算などのイベント日程と、IVが膨らみすぎていないかを確認)

STEP

満期を選ぶ(イベントの日程をまたぐ満期を選び、時間経過による目減りが効きすぎないよう余裕を持たせる)

STEP

コールの行使価格を決める(現在の株価より上に置く。離すほど安くなるが、必要な値動きは大きくなる)

STEP

プットの行使価格を決める(現在の株価より下に置く。コール側とのバランスも確認する)

STEP

2枚を同時に注文する。支払い合計と損益分岐点を最終確認してから発注する

ロングストラングルの組み立て方5ステップ図。銘柄と時期、満期、コールの行使価格、プットの行使価格、同時注文の流れ

2枚を1枚ずつ時間差で建てると、その間に株価が動いて想定した形に組めなくなることがあります。複数レッグを1つの注文として出す「複合注文」が使える証券会社だと、支払いの合計を指定して2枚まとめて発注できます。

組み立てのときに必ず確認したいのが、損益分岐点までの距離です。分岐点は「行使価格 ± 支払ったプレミアム合計」で決まります。このモデルケースでは上が107.6ドル・下が92.4ドルです。見込んでいる値動きがこの分岐点に届くのか、届いた先でどれだけ利益が伸びるのかを、発注前に数字で確認する習慣を付けてください。2枚分の手数料も差し引いて考える必要があります。

持っている間に確認すること

組み立てた後も、確認は続きます。株価が片方向に動いた場合、動いた側のオプションは値上がりしますが、反対側のオプションは無価値に近づいていきます。両方の合計で見て、支払ったプレミアムを上回っているかどうかが判断の基準です。片方だけの値上がりを見て利益と勘違いしないよう、必ず2枚合計の損益で確認してください。

満期が近づいても株価が分岐点の内側にとどまっている場合は、残りの時間で分岐点を超える見込みがあるかを冷静に考え直す場面です。時間経過による目減りが速くなる時期でもあるため、見込みが薄いまま持ち続けると、損失が最大損失の260ドルに近づいていきます。逆に、株価が分岐点を超えて大きく動いた場合は、満期まで待つか、途中で決済して利益を確定するかという選択になります。満期まで待てばさらに利益が伸びる可能性もありますが、株価が戻れば利益は縮みます。どちらを選ぶにしても、組み立てる前に「大きく動いたらどうするか」「動かなかったらどうするか」を決めておくと、途中で迷いにくくなります。

2枚を扱える証券会社を選ぶ

ロングストラングルは買い2枚の組み合わせのため、まずオプションの買いに対応している証券会社が前提になります。ウィブル証券はオプションの買い・売りの両方に対応しています。

2枚をまとめて発注する複合注文まで視野に入れる場合は、サクソバンク証券が選択肢になります。サクソバンク証券は複合戦略を扱う中上級者向けの証券会社で、複合注文に対応しています。ストラングルは2枚構成なので1枚ずつ建てることも可能ですが、価格が動きやすいイベント前後では、まとめて発注できるかどうかが実務上の差になることがあります。各社の手数料や条件の比較は、ランキング記事も参考にしてください。

まとめ

  • ストラングルはストラドルの行使価格を上下にずらした版。同じ満期でコールは上、プットは下の行使価格を買う2枚構成
  • 最大損失は支払ったプレミアムの合計で確定する。モデルケースでは260ドル
  • 利益になるには分岐点(モデルケースでは92.4ドル・107.6ドル)を超える値動きが必要
  • ストラドルより支払いは安い(260ドル対520ドル)が、必要な値動きは大きい(約±7.6%対約±5.2%)
  • IV低下と時間経過が共通の敵。イベントの時期と満期の選び方が結果を左右する

ストラドルとストラングルは、どちらが優れているかではなく、見込む値幅と支払える金額で選ぶ関係です。まずストラドルの損益の形を押さえてから、行使価格をずらすと何が変わるかを比べると、2つの戦略を1つの流れで理解できます。

ロングストラングルの要点まとめ図。2枚構成、最大損失260ドル、損益分岐点、ストラドルとの違い、IVと時間の注意点を整理した図

※本記事はオプション取引に関する一般的な教育情報であり、特定の銘柄や取引を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任で行ってください。

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