米国株オプションの手数料は「1枚いくら」だけでは比べられない
米国株オプションの手数料を比べるとき、多くの人が最初に見るのは「1枚あたり何ドルか」という数字です。しかし、実際の支払額はその数字どおりにはなりません。
注文の枚数が少ないときは最低手数料が効いてきますし、証券会社によっては取引手数料とは別にシステム利用料がかかります。さらに、円からドルへの両替コストや、取引所に支払う現地諸費用も、最終的なコストに積み上がります。
この記事では、国内で米国株オプションを取引できる4社――ウィブル証券、moomoo証券、サクソバンク証券、IB証券(インタラクティブ・ブローカーズ証券)――の手数料体系を公式情報で確認し、「1枚だけ注文したらいくらか」「10枚・100枚ではどうか」という実際の支払額のイメージまで含めて比較します。
先に結論を整理すると、次のとおりです。
- 少ない枚数を安く取引したいなら ウィブル証券 と moomoo証券
- 取引枚数が多いほど単価が下がる仕組みがあるのは IB証券 と moomoo証券(段階制コース)
- サクソバンク証券 は手数料では不利。ツールと戦略の自由度で選ぶ証券会社
- どの証券会社でも、為替コストと現地諸費用は別途かかる

4社の手数料比較表
まずは4社の基本的な手数料体系を並べます。表示は各社の公式ページの表記に合わせています(IB証券・moomoo証券は日本向け公式ページの消費税込み表示です)。
| 項目 | ウィブル証券 | moomoo証券 | サクソバンク証券 | IB証券 |
|---|---|---|---|---|
| 取引手数料(1枚あたり) | 0.6ドル(税込) | 取引手数料 0.33ドル(税込) + システム利用料 0.28ドル(税込) | クラシック 2.2ドル/プラチナ 1.1ドル/VIP 0.825ドル(税込) | 0.165〜0.715ドル(税込・段階制) |
| 最低手数料(1注文あたり) | 2.18ドル(税込) | システム利用料に最低 2.19ドル(税込) | なし(ミニマムチャージなし) | 1.10ドル(税込) |
| 手数料が下がる仕組み | なし(一律) | 段階制コースあり(月間の取引枚数で変動)/キャンペーンで7枚以内の注文は取引手数料無料 | 会員ステージ制(純資産・取引量で変動) | 段階制(月間取引量とプレミアム価格で変動) |
| その他の主なコスト | 為替手数料(1ドルあたり15銭)、株価指数オプションは取引所別費用が別途 | 現地清算費用等が別途発生する場合あり | 円口座は両替コスト込みの提示レートで円転、建玉持越しでキャリングコストの場合あり | オプション規制費用(ORF)・OCC清算手数料などの現地諸費用が別途 |

表を見ると、各社の設計思想の違いがよく分かります。ウィブル証券は「一律で安い代わりに最低手数料がある」タイプ、moomoo証券は「取引手数料とシステム利用料の2階建て」タイプ、サクソバンク証券は「会員ステージで変わる」タイプ、IB証券は「取引量とプレミアム価格で細かく変わる」タイプです。
IB証券の手数料表示についての注意
IB証券の手数料は、見るページによって数字が違って見えるため注意が必要です。概要ページなどでは「0.15〜0.65ドル」と表示されることがありますが、これは消費税抜きの表示です。日本向けの詳細ページでは消費税込みで0.165〜0.715ドル(1枚あたり)と案内されており、この記事では税込の数字を採用しています。
また、日本の口座で米国オプションを取引する場合、手数料体系は段階制(Tiered)のみで、固定制(Fixed)は米国オプションには適用されません。段階制では、月間の取引量と、そのオプションのプレミアム価格によって1枚あたりの単価が決まります。個人投資家の一般的な取引量(月間10,000枚以下)では、プレミアムが0.10ドル以上のオプションで0.715ドル、0.05ドル未満の安いオプションでは0.275ドルが目安です。
実際にいくら払うのか|枚数別の試算
1枚あたりの単価に最低手数料を加味すると、支払額のイメージは大きく変わります。片道(新規建て)1注文あたりの取引手数料・システム利用料の合計を試算しました。現地諸費用や為替コストは含みません。
| 注文件数 | ウィブル証券 | moomoo証券(定額コース) | サクソバンク証券(クラシック) | IB証券 |
|---|---|---|---|---|
| 1枚 | 2.18ドル(最低手数料) | 約 2.52ドル(キャンペーン中は約2.07ドル) | 2.2ドル | 1.10ドル(最低手数料) |
| 10枚 | 6.0ドル | 約 6.1ドル | 22ドル | 約 7.15ドル |
| 100枚 | 60ドル | 約 61ドル | 220ドル | 約 71.5ドル |
※ moomoo証券は税込ベース(取引手数料0.33ドル+システム利用料0.28ドル/枚、システム利用料の最低2.19ドル)で計算した目安です。IB証券は月間取引量10,000枚以下・プレミアム0.10ドル以上の単価(税込0.715ドル)で計算しています。サクソバンク証券のプラチナはクラシックの半額、VIPは0.825ドル/枚です。
この試算から分かるのは、次の3点です。
まず、1枚だけの注文では、どの証券会社でも最低手数料やシステム利用料の最低額が効いて、実質2ドル前後のコストになるという点です。「1枚0.6ドル」のウィブル証券でも、1〜3枚の注文では最低手数料の2.18ドルが適用されます。
次に、枚数が増えるほどサクソバンク証券(クラシック)の割高さが目立つ点です。100枚では他社の約4倍のコストになります。サクソバンク証券は手数料ではなく、取引ツールと戦略の自由度で選ぶ証券会社だという位置づけが、数字からも裏づけられます。
そして、IB証券は「最安」と言われることが多いものの、個人の一般的な取引量では1枚0.715ドル(税込)と、実はウィブル証券と大きくは変わりません。IB証券の単価が本当に下がるのは、月間の取引量が数万枚単位になってからです。

手数料以外にかかるコスト
オプション取引のコストは、証券会社に払う手数料だけではありません。見落としやすいものを順に確認します。
最低手数料
1注文あたりの最低手数料は、少ない枚数の取引ほど効きます。ウィブル証券は2.18ドル(税込)、IB証券は1.10ドル(税込)です。moomoo証券は取引手数料自体に最低額はありませんが、システム利用料に1注文あたり最低2.19ドル(税込)の設定があります。サクソバンク証券にはミニマムチャージがありませんが、その分1枚あたりの単価自体が高めです。
少額・少枚数から始める初心者のうちは、「1枚あたりの単価」よりも「1注文の最低コスト」で比べるほうが実態に合います。
為替コスト
米国株オプションは米ドル建ての取引です。日本円で入金して取引する場合、どこかで円をドルに両替する必要があり、その際に為替コストがかかります。
ウィブル証券の為替手数料は1ドルあたり15銭と公表されています。サクソバンク証券は、米ドル口座で取引すれば売買代金と手数料に両替コストはかかりませんが、円口座を使う場合やサブ口座間で資金を振り替える際には両替コストが発生します。
為替コストは往復でかかるうえ、取引回数ではなく金額に対してかかるため、大きな資金を何度も円とドルで往復させる運用をすると、手数料以上に効いてくることがあります。ドル建てのまま資金を回し続けるのが基本です。
システム利用料と現地諸費用
moomoo証券のシステム利用料のように、取引手数料とは別名目の費用がかかる場合があります。また、どの証券会社でも、米国の取引所や清算機関に支払う現地諸費用が発生する場合があります。IB証券では、オプション規制費用(ORF)やOCC清算手数料などが手数料とは別に請求される仕組みが公式に案内されています。
1枚あたりに直すと小さな金額ですが、「手数料ゼロ」をうたう局面でも諸費用はゼロにはなりません。約定明細で実際に何が引かれているか、最初の取引で一度確認しておくことをおすすめします。
権利行使・割り当てに伴うコスト
オプションを権利行使したり、売り手として割り当てを受けたりすると、原資産である株式の売買が発生します。その際は株式側の売買手数料や為替コストが別途かかる場合があります。IB証券では、米国オプションの権利行使・割り当て自体には取引手数料がかからないと案内されていますが、証券会社ごとに扱いが異なるため、売りを中心に取引する人は事前に確認しておきましょう。
取引スタイル別の向き・不向き
ここまでの内容を、取引スタイル別に整理します。
- 月に数回、数枚ずつの取引:ウィブル証券かmoomoo証券。1注文の最低コストが2ドル前後で収まる
- キャンペーンを活用したい:moomoo証券。期間限定で7枚以内の注文は取引手数料が無料になるため、その範囲ではシステム利用料だけが実質コストになる
- 枚数が多く、頻繁に売買する:IB証券かmoomoo証券の段階制コース。取引量に応じて単価が下がる仕組みがある
- 複合戦略を本格的に組みたい:サクソバンク証券。手数料は割高でも、ツールと戦略の自由度で選ぶ
- 現物株とあわせてカバードコールを回したい:現物側の売買コストも含めて検討を。証券会社ごとの現物手数料もあわせて確認したい

なお、手数料の安さだけで証券会社を選ぶと、「やりたい戦略がツールで組めない」「売りの注文が制限されている」といった行き詰まりが起きることがあります。手数料は毎回の取引で効いてくる重要な要素ですが、最終的には自分の取引スタイルに合うかどうかで選ぶのが基本です。

結論|目的別のおすすめ
最後に、目的別のおすすめをまとめます。
- とにかく安く始めたい → ウィブル証券(1枚0.6ドル・税込。最低手数料2.18ドルに注意)
- 少枚数をこまめに取引したい → moomoo証券(キャンペーン中は7枚以内の注文で取引手数料無料)
- 取引量が多く、単価を下げていきたい → IB証券(段階制。ただし個人の取引量では0.715ドル/枚が目安)
- 手数料より戦略とツールで選びたい → サクソバンク証券(クラシックは割高。ステージが上がれば単価は下がる)
当サイトの総合ランキングでは、手数料に加えてツールの使いやすさや戦略の自由度まで含めて評価し、ウィブル証券を1位、moomoo証券を2位、サクソバンク証券を3位、IB証券を4位としています。手数料以外の観点も含めて比較したい人は、ランキング記事もあわせてご覧ください。



